2010年11月25日

極私的へヴィメタル論

勢いがついたので、ロックネタもう一題。






先日たまたまBlue Cheerの"Vincebus Eruptum"とIron Butterflyの"In-A-Gadda-Da-Vida"を中古とCD WOW!のポチ買いで買っちゃって聴いてるうちに、そー言えばこの辺ってへヴィメタルの元祖とか言われてたなあと思い出してちょっとそのあたりの話を弄ってみたくなったので、無理を承知でちょっと書いてみます。


まず最初に断っとくと、私、今現時点でへヴィメタルと呼ばれてる音は基本的に好きではありません。
聴かず嫌いなのかもしれませぬが、積極的に聴こうという気もしないので、基本的にあまり知識もありません。
厨房、工房の頃は基本的にハードロック少年だったので、その時代以前の「ハードロック」は大好きなんですが、どーもNWOBHMについていけなくなって、スラッシュメタルあたりで完全にLostしたみたいです。
ま、一応ジャンルに貴賎なしというのが自分の音楽に関する基本スタンスなんで、是々非々でチョイスしてますので、MetalicaとかToolとか、世間一般にはメタルと認識されているものでも好きなアーティストはいたりするわけですが、系統立てて聴いてないので、何でそれが好きなの?と言われてもよくわからなかったりします。
NWOBHMについて行けなかったとか書いてる割に初期のIron Maidenはすんげー好きだったりするし。いや、デビュー当時のIron Maidenはすんげー革新的でしたよ(って、すぐ横道にそれちゃう)。
何ちゃらコアとかいう今どきのパンクも嫌いなんですが、カタルシス優先っつうことで何となくイメージが重なっちゃってます。
ま、最大の理由はあまりにたくさんありすぎてフォローするのが面倒くさいっつうことなんですけど、フォローする意欲を持てないということは、やっぱりジャンル自体が好きじゃないんだろうと思います。

一方でかつてハードロック少年だったこともあって、へヴィメタルの起源と言われるようなバンドはみな好きだったりします。
上述のBlue Cheer、Iron Butterflyの他、Vanilla FudgeとかSteppenwolfと言った60年代末のちょっとサイケがかったハードロック風味のバンドの他、Cream、Led Zeppelinといった本格ハードロックバンドや日本語版Wiki推奨のBlack Sabbath、Blue Öyster Cultなんてのもよく起源として挙げられていますが、皆好きなんですよねえ。

となると、ハードロックとへヴィメタルの境界線ってどの辺にあるんだろうと思ったりするんですが、NWOBHM以降「ハードロック」は基本的に独立した分野として成立しにくくなってるのかなあという気がしてます。
聴き手の意識として、「へヴィーメタル」が主たるジャンルで、その中にサブジャンルとして「ハードロック」っぽいものがある、という志向になってるのかな、と。めちゃくちゃ直観的な仮説ですけど。
「へヴィーメタル」というジャンルの受容のされ方がかつての不良少年のカタルシス的なロックの代用品になっていってて、「へヴィメタル」商品として売れないものはハードロック的要素があってもメインストリームロックかオルタナティヴ・ロックにカテゴライズされがちなのかなあ、という印象。
これは「へヴィーメタル」を「パンク」に置き換えてもだいたい通用する論じゃないかと思うんですが。
純粋な音楽論としてのカテゴライズの問題じゃなくて、マーケティング論として、ハードロックというジャンルを独立した商品分野として定義する必要がなくなっているというか。
たとえば、Bon JoviやPearl Jamあたりは、古のハードロックっぽい体裁は整ってると思うんですが、いわゆるへヴィーメタルの受容者に対しては訴求力がないとなると、ハードロックとしては成立しない、と。
1990年代初頭のグランジ・ムーヴメントは、商品としてのハードロック・ジャンルの復活への期待を抱かせるものでしたが、結果的には「へヴィーメタル」でも「パンク」でもないということで、「オルタナティヴ・ロック」という曖昧なカテゴリーを日本の洋楽市場に定着させることに寄与しただけでした。
ま、それが正しい認識だからしょーがないんだけど。てゆーか、グランジは、Kirt Cobainがあんなことになっちゃったせいもあるけど、音楽的にはもっとへヴィメタルやパンク側に寄せられなかったから天下取れなかったのかなという気もしますし。
何だかんだ言って、売りやすいジャンルなんだろうな、という気はします、パンクとへヴィメタルって。

翻って、自分が厨房の頃(70年代後半)のことを思い起こすと、へヴィメタルってあんまり一般的な言葉じゃなかったような気がするんですよね。
ハードロックの方が一般的な呼称で、その中で特に重い奴、音の密度の濃い奴をへヴィメタルと呼んで区別する人がいた、程度の認識です。
密度の濃さというのは割と重要なクライテリアのような気がしてて、昔のハードロック聴くとギターのリフとかベースのフレーズ自体はへヴィーでも、全体的な造りは割とスカスカしてるんですよね。
そのスカスカ部分をキーボードとかコーラスで埋めると産業ロックっぽくなっちゃうんですが、ギターやベースのリフ・スピードをあげたり、エフェクターとかフィードバックノイズで埋めるとへヴィメタルっぽくなるのかな、と思ってました。
単純に言うと、速くするかデカくするとへヴィメタル、っつうイメージ。
あくまでイメージなんで、個別に見ていくと必ずしも当てはまらない例もあろうかと思いますが、自分の認識はそーゆーものでした。
なので、初期のIron MaidenやDef LeppardといったNWOBHM勢のスピード感は、ああ、こーゆーのがハードロックではなくてへヴィメタルなんだなあ、と思ったものです。
彼らが鳴らしていた音自体に否定的な印象はあまりなかったと記憶しています(むしろ彼らの方がその後変節して自分の興味の範囲から外れて行ったのだと思ってます)。
が、その後、自分の脳内基準ではありますが、UFOやThin Lizzyといった「ハードロック」バンドが、「へヴィメタル」化して行くのを見ながら(それも一種の色眼鏡かもしれませんが)、自分にとっての古き良きハードロックの時代は終わったのだ、と、感じたことは事実です。
そーゆー経験が自分のへヴィメタルに対するネガティヴなイメージの形成に役立っていることは間違いないでしょう。
そして、その後、自分はポストパンク/ニューウェイヴにどっぷり浸かって行くことになります。
BauhausやエコバニやU2に慣れた耳にはLAメタルやスラッシュが粗雑に聴こえたことは間違いないでしょう。
彼らの、エモーショナルでありながらスカスカな音に、古き良き時代のハードロックと同質の空間を感じたとまで言うとさすがに牽強付会にすぎますが。

何となくへヴィメタルをdisったようなエントリになっちゃいましたが、ロックの本質はカタルシスにあると思うので、そーゆー意味ではへヴィメタルはものすごく原点に忠実な分野なんだろうと思ってます。
そもそもどーゆーものにカタルシスを感じるかというのは、個人差でしかないはずですし。


タグ:ロック
posted by H5 at 23:57| Comment(0) | TrackBack(0) | Music | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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