2007年04月25日

ベストでもブライテストでもない私たちが思うこと

ピュリツァー賞受賞のハルバースタム氏が交通事故死

謹んでご冥福をお祈り申し上げます。


追悼エントリというのはあまり好きではないのですが、ハルバースタム氏に関しては幾ばくかの懐古の念を書き止めておきたいという思いを止められませんでした。


ハルバースタムと言えば何と言っても「ベスト&ブライテスト」ということになるのでしょうが、自分が最初にこの名著を読んだのは高校生の時でした。
それは当時の自分が漠然と抱いていた「リベラルなアメリカ」という身勝手なイメージに対する幻想を打ち砕いた「リアルな」レポートでした。

今の自分が「平和主義者」と呼ばれるものに属するのだとしたら、その根っ子にはこの「ベスト&ブライテスト」が提示したアンチテーゼが間違いなくあるのでしょう。
基地外が核ミサイルのボタンを押してしまうことから始まる狂気、などという馬鹿げた御伽噺とは次元の違うリアルな愚かさがそこには著されていたのでした。

最も聡明で、最も完璧であるはずの人たちが犯した過ちは、「戦争」という装置を制度的に内包する近代国家という枠組の構造的な欠陥なのだろうと当時の自分は感じたのですが、その構造的欠陥への警戒心と恐怖心はいまだに消えていません。
このところ物凄い勢いで増殖しているように見える「奴等」と「俺達」という単純な二極化によってしか世界を捉える視座を持ちえない単純な人たちには恐らく伝わらないでしょうけど、それでも、いや、それだからこそ「ベスト&ブライテスト」でハルバースタムが鳴らした警鐘はより意義深いものになっているのだと強調しておきたいのです。


この他、ハルバースタム氏の著作では「男たちの大リーグ(原題"Summer of 49")」も忘れられません。
古き良き時代のアメリカを、隆盛するメジャー・リーグへの熱狂を通して描いた力作。
「ベスト&ブライテスト」ほどの重厚感はありませんが、その精密な筆致には野球に興味のない読者でも惹きこまれること請け合い。

是非一読をお勧めします。


posted by H5 at 01:00| Comment(0) | TrackBack(0) | Media | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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