2007年04月25日

ベストでもブライテストでもない私たちが思うこと

ピュリツァー賞受賞のハルバースタム氏が交通事故死

謹んでご冥福をお祈り申し上げます。


追悼エントリというのはあまり好きではないのですが、ハルバースタム氏に関しては幾ばくかの懐古の念を書き止めておきたいという思いを止められませんでした。


ハルバースタムと言えば何と言っても「ベスト&ブライテスト」ということになるのでしょうが、自分が最初にこの名著を読んだのは高校生の時でした。
それは当時の自分が漠然と抱いていた「リベラルなアメリカ」という身勝手なイメージに対する幻想を打ち砕いた「リアルな」レポートでした。

今の自分が「平和主義者」と呼ばれるものに属するのだとしたら、その根っ子にはこの「ベスト&ブライテスト」が提示したアンチテーゼが間違いなくあるのでしょう。
基地外が核ミサイルのボタンを押してしまうことから始まる狂気、などという馬鹿げた御伽噺とは次元の違うリアルな愚かさがそこには著されていたのでした。

最も聡明で、最も完璧であるはずの人たちが犯した過ちは、「戦争」という装置を制度的に内包する近代国家という枠組の構造的な欠陥なのだろうと当時の自分は感じたのですが、その構造的欠陥への警戒心と恐怖心はいまだに消えていません。
このところ物凄い勢いで増殖しているように見える「奴等」と「俺達」という単純な二極化によってしか世界を捉える視座を持ちえない単純な人たちには恐らく伝わらないでしょうけど、それでも、いや、それだからこそ「ベスト&ブライテスト」でハルバースタムが鳴らした警鐘はより意義深いものになっているのだと強調しておきたいのです。


この他、ハルバースタム氏の著作では「男たちの大リーグ(原題"Summer of 49")」も忘れられません。
古き良き時代のアメリカを、隆盛するメジャー・リーグへの熱狂を通して描いた力作。
「ベスト&ブライテスト」ほどの重厚感はありませんが、その精密な筆致には野球に興味のない読者でも惹きこまれること請け合い。

是非一読をお勧めします。


posted by H5 at 01:00| Comment(0) | TrackBack(0) | Media | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年12月23日

オリコンが言論封殺の意図を公式に認めたよ

■お詫びと訂正■】(UGAYA JOURNAL)
烏賀陽さんのサイトに■お詫びと訂正■が】(音楽配信)
雑誌にコメントしたライター 5,000万円賠償請求される】(J-CASTニュース)
「ライター烏賀陽弘道氏への提訴」について】(オリコン公式)


オリコンの訴訟の件、かなり香ばしくなって来たみたいなので、敢えて釣られてみます。



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posted by H5 at 11:41| Comment(0) | TrackBack(0) | Media | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年12月20日

オリコンの暴走はメディア企業としての自殺を意味しないか

オリコンが自分たちに都合の悪い記事を書いたジャーナリストを潰すべく高額訴訟を起こす
オリコンのプレスリリースに対する疑問と今後の争点


こちらのコメント欄でRROSEさんから報告があった件。
自分も一読して即座にひどい話だと憤慨したのですが、昨日はseasaaの鯖が落ちてたので、取り上げられませんでした。

既に各所で話題になってるので、細かい点については触れませんが、今回の件で自分が最も不気味に感じたのは、この訴訟が記事を伝えたメディアであるサイゾーではなく、個人を相手に行われている点です。
確かに「名誉毀損」に当たるとオリコンが問題にしているのは個人の発言の部分なのですが、従来こーゆーケースでは編集し掲載した側の責任を問うのが常で、訴訟の相手はメディアになるのが一般的なんじゃないかと思います。
個人を狙い撃ちしたのは、烏賀陽氏に対する怨嗟の念の発露であり、一種の恫喝による言論封殺と見るのはそれほど的外れでないようにも思えます
が、あるいは、比較的ネットに対するセンシティヴィティが高いと思われるオリコンだけに、個人からの情報の発信コストがほぼゼロになりつつある状況下では既存メディアへの対策だけでは充分ではないという考え方が根底にあるのかもしれません。
もしくは自身がメディア企業であるだけに、メディアの責任を小さく見積もりたいと言う意識が働いたか。
いずれも、やや穿ちすぎかもしれませんが。

法的には「名誉毀損」の要件を満たしていないと断言はできないレベルの微妙なラインだと思うので、裁判になれば名誉毀損が認められる可能性もあるでしょうが、5000万円はさすが法外です。
この要求額はビビらせようと思ってると言われても仕方ないでしょう。
まあ、オリコンからすると、実際には数万円しか採れないとしても、訴えられたら面倒だから触れないでおこうと考えさせることができれば儲けものというとこでしょうか。

誰もミッキーの絵を描かないようなものです。

どうやらオリコンも独占企業の常として、コンプライアンスの欠如という病を抱え込んでしまったようです。
権利意識が高いのは決して悪いことではないですし、自らの存在意義に誇りを持つのも企業としてすばらしいことではありますが、自身が「メディア企業」であるということにもう少し思いを来たした方が良いんじゃないでしょうか。

posted by H5 at 22:15| Comment(1) | TrackBack(0) | Media | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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